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おやつの時間、どうすればむし歯を防げるの? — 1〜2歳から始める「間食のルール」をやさしく解説

  • 執筆者の写真: 大阪院 Ihana総合歯科
    大阪院 Ihana総合歯科
  • 4月1日
  • 読了時間: 9分

「おやつって、お菓子のことでしょ?」——そう思っている方、実はとても多いのです。 でも、1〜2歳の小さなお子さんにとって、おやつはお菓子タイムではありません。朝・昼・夕の3回の食事に加えて、成長に必要な栄養を補う「第4・第5の食事」なのです。


ただし、ここで大切なポイントがあります。おやつの「何を」「いつ」「どうやって」与えるかによって、お子さんのむし歯のなりやすさは大きく変わってきます。


この記事では、最新の研究データをもとに、保護者の方が今日から実践できる「むし歯を作りにくいおやつの与え方」を、歯科医師岩崎がわかりやすくお伝えします。


室内でクマの服を着た赤ちゃんが毛布を握って笑顔を見せている。背後にはぬいぐるみと植物、窓からの光が差し込む。
舌を出して喜んでいるあかちゃん

目次





そもそも、なぜ小さな子どもに「おやつ」が必要なの?



大人は1日3回の食事でおおむね必要な栄養を摂ることができます。でも、1〜2歳のお子さんの場合はそうはいきません。なぜなら、お子さんの胃はまだとても小さいからです。大人の胃の容量と比べると、1歳のお子さんの胃はおよそ拳(こぶし)ひとつ分ほどの大きさしかありません。


そのため、1回の食事で食べられる量には限りがあり、3食だけでは1日に必要なエネルギーや栄養素を十分に摂りきれないのです。ここで「おやつ」が登場します。おやつは、食事と食事のあいだに栄養を補う、いわば「小さな食事」としての役割を持っています。


つまり、おやつをまったく与えないのも問題ですし、逆に与え方を間違えるとむし歯の原因になってしまう——この「バランス」が大切なのです。




おやつの与え方を間違えると、どうしてむし歯になるの?



むし歯ができるしくみを知ろう


むし歯がどうやってできるのか、そのメカニズムを簡単に理解しておくと、おやつの与え方がなぜ大切なのかがよくわかります。


  1. お口の中には、たくさんの細菌がすんでいます(これは誰でも同じで、異常なことではありません)

  2. 食べ物に含まれる糖分が口の中に入ると、細菌がその糖を分解して「酸」を作ります

  3. この酸が歯の表面にあるエナメル質を少しずつ溶かしていきます

  4. 通常は、食べ終わってから30〜60分ほどかけて、唾液の力でお口の中は中性に戻ります

  5. ところが、頻繁に甘いものを口にしていると、唾液による回復が追いつかず、歯が溶け続けてしまいます


つまり、「砂糖をどれだけたくさん食べたか」も大事ですが、「どれだけ頻繁に口にしたか」も大事です。




研究データが教えてくれる「間食とむし歯」の深い関係



世界保健機関(WHO)はなんと言っている?


WHO(世界保健機関)の小児むし歯予防マニュアル(2019年) では、むし歯を予防するための柱のひとつとして、「遊離糖類」の摂取を減らすことが明確に推奨されています。


「遊離糖類」とは、食品や飲料に加えられた砂糖や、はちみつ・果汁などに含まれる糖のことを指します。WHOが「総量」だけでなく「摂取する頻度」にも注目しているという点が重要です。何度も繰り返し甘いものを口にする「ダラダラ食べ」は、むし歯のリスクを大きく高めてしまいます。


複数の研究をまとめた大規模な分析でも確認されている


Welti et al. (2023) のアンブレラレビューでも、遊離糖類を頻繁に摂取することが、むし歯の「修正可能なリスク因子」であることが確認されました。日々のおやつの与え方は保護者の方が今日から変えられる——これはとても心強い事実です。


乳幼児期のむし歯には多くの要因がからんでいる


Carroll (2024) によるシステマティックレビューでは、乳幼児期のむし歯(ECC)の発症に関わるさまざまなリスク因子が整理されており、食事・間食の習慣がECCの重要なリスク因子のひとつとして位置づけられています。


テレビやスマホを見ながらのおやつにご注意


Shqair et al. (2019) のシステマティックレビューでは、スクリーンタイムが長い子どもほど、砂糖を多く含む飲食物を摂取しやすい傾向があることが報告されています。「ダラダラ食べ」につながりやすく、むし歯のリスクを高める要因になり得ます。


今の食習慣が、将来の健康をつくる


Zheng et al. (2025) のシステマティックレビューでは、乳幼児期に形成された食事パターンが、その後の健康状態に長期的な影響を及ぼすことが示されています。今のおやつの与え方は、お子さんの将来への「贈り物」でもあるのです。




今日から始められる!おやつの5つのルール



ここまでの研究データをふまえて、ご家庭で無理なく実践できるルールを5つにまとめました。すべてを一度に完璧にこなす必要はありません。できるところから、少しずつ取り入れてみてください。


ルール1:おやつの「時間」を決めましょう


なぜ大切? 先ほどお伝えしたように、食べた後にお口の中が中性に戻るまでには30〜60分ほどかかります。おやつの時間が決まっていないと、1日のうちにお口の中が酸性になっている時間が長くなり、歯が溶けるリスクが高まります。


具体的にはどうすればいい?

  • 1日1〜2回、決まった時間におやつタイムを設けましょう(例:午前10時と午後3時)

  • 「お子さんが欲しがったらあげる」のではなく、食事と食事のあいだに計画的に設定するのがポイントです

  • 次の食事までに2時間以上あくタイミングが理想的です(おやつが近すぎると食事に響いてしまいます)


ルール2:おやつの「中身」を見直してみましょう

なぜ大切? おやつ=甘いお菓子(チョコレート、クッキー、あめなど)という思い込みがあると、自然と砂糖の摂取頻度が増えてしまいます。おやつを「小さな食事」と考えれば、選ぶものの幅がぐっと広がります。

1〜2歳のお子さんにおすすめのおやつ

  • おにぎり:小さく一口サイズに握ったもの。エネルギー補給にぴったりです

  • ふかしいも・かぼちゃ:自然な甘みがあり、食物繊維も豊富です

  • 果物:バナナ、みかん、いちごなど。ビタミンも一緒に摂れます

  • チーズ・ヨーグルト(無糖のもの):カルシウムの補給になり、さらにお口の中を酸性に傾けにくい食品です。チーズに含まれるカゼインというたんぱく質には、歯の再石灰化を助ける作用もあるとされています

  • 野菜スティック:ゆでたにんじん、きゅうりなど。噛む練習にもなります

ちょっとしたコツ: 「おやつ」という言葉を使わず、お子さんには「ごはんの時間だよ」と声をかけるのもひとつの工夫です。そうすることで、おやつ=お菓子というイメージがつきにくくなります。


ルール3:飲み物は「水かお茶」を基本にしましょう

なぜ大切? 意外と見落としがちなのが「飲み物に含まれる糖分」です。ジュース、乳酸菌飲料、イオン飲料(スポーツドリンク)などには、想像以上に多くの糖分が含まれています。たとえば、一般的な果汁100%ジュースでも、200mlあたり約20g(スティックシュガー約7本分)の糖分が含まれていることがあります。

特に気をつけたいこと:

  • 哺乳瓶やストローマグにジュースや甘い飲み物を入れて長時間飲ませることは、「哺乳瓶う蝕(ほにゅうびんうしょく)」——哺乳瓶を使うことで起こりやすい、特に上の前歯に多発するむし歯——の大きな原因になります

  • 哺乳瓶やストローマグは少しずつ、長い時間をかけて飲む構造になっているため、お口の中が糖分にさらされる時間が長くなってしまうのです

  • のどが渇いたときの水分補給は、**水かお茶(カフェインの少ない麦茶など)**を基本にしましょう


ルール4:「ダラダラ食べ」を防ぐ工夫をしましょう

なぜ大切? 繰り返しになりますが、むし歯予防で最も重要なのは**「甘いものを口にする頻度を減らすこと」**です。ダラダラと長い時間をかけて食べ続ける習慣は、むし歯のリスクを確実に高めます。

具体的な工夫:

  • おやつはお皿に出した分だけにしましょう。袋ごと渡してしまうと、際限なく食べ続けてしまいがちです

  • 食べる場所を決めましょう。食卓に座って食べるルールにすれば、歩き回りながらダラダラ食べることを防げます

  • 15〜20分程度で切り上げましょう。時間を決めておくと、「まだ食べたい」となっても「次のおやつの時間にね」と声をかけやすくなります

  • テレビやスマートフォンを見ながらの「ながら食べ」は避けましょう。先ほどご紹介した Shqair et al. (2019) の研究が示すように、画面視聴中の食事は砂糖の多い食品の摂取につながりやすくなります


ルール5:おやつの後は「お口のケア」をしましょう

なぜ大切? おやつの後、お口の中に残った糖分は細菌のエサになり、酸が作られます。食後にお口の中をきれいにすることで、酸が作られる時間を短くすることができます。

どこまでやればいいの?

  • ベストは仕上げ磨きですが、おやつのたびに歯磨きをするのは現実的に難しいことも多いでしょう

  • お水やお茶を飲ませるだけでも効果があります。口の中の糖分を洗い流し、酸性に傾く時間を短くできます

  • 少なくとも就寝前の歯磨きはしっかり行いましょう。寝ている間は唾液の分泌が減るため、お口の中の自浄作用が低下します。1日の中で最も大切な歯磨きのタイミングは「寝る前」です


「うちの子、乳歯だから大丈夫」は本当?


「乳歯はどうせ生え変わるから、多少むし歯になっても大丈夫」——こう思われている方は少なくありません。しかし、乳歯のむし歯を放置すると、以下のような影響が出ることがあります。


  • 永久歯の歯並びへの影響:乳歯は、あとから生えてくる永久歯の「場所取り」をしています。むし歯で乳歯が早期に抜けてしまうと、隣の歯が倒れ込み、永久歯が正しい位置に生えられなくなることがあります

  • 食事や発音への影響:むし歯の痛みで十分に噛めなくなると、栄養の偏りや、ことばの発達に影響が出ることもあります

  • 永久歯への感染:乳歯のむし歯が進行すると、その下で育っている永久歯の芽(歯胚)に悪影響を及ぼす可能性があります


だからこそ、「乳歯のうちから」むし歯を予防する習慣を身につけておくことが大切なのです。




まとめ:5つのルールをおさらいしましょう



早期の歯科受診の目的は、むし歯ができてからの「治療」ではなく、むし歯を防ぐための「予防」です。WHOをはじめとする国際的な機関も、定期的な歯科受診を小児むし歯予防の柱として位置づけています。

「まだ早いかな?」と迷う必要はありません。早く始めるほど、お子さんが歯医者さんの雰囲気に慣れやすく、保護者の方も正しいケアの方法を早い段階で知ることができます。何より、お子さんの歯を守るためにできることを、一つずつ始めていくことが大切です。


お子さまの歯について気になることがあれば、大阪市中央区にありますIhana歯科北浜へお気軽にご相談ください。初めての歯科受診が、お子さんの健やかなお口の成長の第一歩になります。




参考文献



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