失った歯の両隣の歯を削り、橋のように連結した人工歯を被せる方法です。
インプラント治療 必要な方に、必要な治療を
当院のインプラント治療の
考え方
他院で「骨が足りないからインプラントはできない」と言われた方へ。近年、ショートインプラントや傾斜埋入など骨造成を回避できる手法のエビデンスが急速に蓄積されています。以前は難しかった症例でも対応できる可能性が広がっていますので、諦める前に一度ご相談ください。
「歯がなくなったから、インプラント」ではありません。
歯を失ったとき、まず考えるべきことは「なぜその歯を失ったのか」です。むし歯なのか、歯周病なのか、破折なのか。原因を突き止めなければ、インプラントを入れても同じことが繰り返されるリスクがあります。
当院では、失った歯の原因分析、周囲の歯の予後判断、そして患者さんの人生をロングスパンで見据えた上で、インプラントが最善であると判断した場合にのみご提案します。短絡的なインプラントは、将来のトラブルの種になると考えているからです。
天然歯の保存が最優先
─インプラントは「最後の選択肢」です
天然の歯を残せる可能性がある限り、私たちはそちらを最優先します。ブリッジや義歯も含め、あなたにとって本当に最善の選択肢を一緒に考えます。「必要な方に、必要な治療を」それが当院の治療設計の原点です。
10年生存率は95%以上
─適応を見極めれば長期的に信頼できる治療です
複数の大規模な研究の統合分析(システマティックレビュー/メタアナリシス)によると、粗面処理されたチタンインプラントの10年生存率は96.4%(95%信頼区間95.2-97.5%)と報告されています。
さらに20年の追跡データでも、5本中4本以上が機能し続けています。ただしこの数字は、適切な適応判断と継続的なメンテナンスがあってこそのものです。
インプラント周囲炎は「管理可能」な疾患です
インプラント最大のリスクとして知られるインプラント周囲炎。その有病率は患者レベルで約18-25%と報告されていますが、定期的なサポーティブケア(メンテナンス)を受けている群では、発生リスクが75%低下するという研究結果があります。
つまり、適切な管理体制があれば予防・コントロールできる疾患なのです。
当院のインプラント治療の強み
「なぜその歯を失ったか」から始める原因分析
インプラントを検討する前に、まず歯を失った原因を特定し、周囲の歯の予後を評価します。
むし歯が原因なら口腔衛生の改善が先、歯周病が原因なら歯周治療の安定が先です。原因を放置したままインプラントを入れても、同じことが繰り返されます。
患者さんの人生を5年・10年・20年のスパンで見据え、お口全体のバランスと将来起こりうる変化を含めた長期設計を行います。
補綴専門医が在籍
─「埋入」と「上部構造」を一体設計
当院には補綴専門医(三輪俊太/日本歯科専門医機構認定 補綴歯科専門医)が在籍しています。インプラントは「骨に埋める手術」だけでなく、「その上にどんな歯を作るか」「噛み合わせ全体にどう組み込むか」が長期成功の鍵です。外科と補綴の両面を一体的に設計できることが、当院の大きな強みです。
エビデンスに基づく低侵襲アプローチ
─フラップレス・グラフトレス
インプラント治療の科学は日進月歩です。当院では最新のエビデンスを継続的にリサーチし、患者さんの負担を最小限に抑える治療法を積極的に取り入れています。
- フラップレス手術 歯肉を大きく切開しないガイデッドサージェリーです。メタ解析では、従来の切開法と比較して生存率に差がなく、術後の痛み・腫れ・出血が有意に少ないことが報告されています。
-
グラフトレスアプローチ
骨が不足している場合でも、ショートインプラントや傾斜埋入によって骨造成を回避できるケースがあります。
複数のRCTの統合分析では、ショートインプラントは骨造成を併用した通常インプラントと生存率に有意差がなく、生物学的合併症が有意に少ないことが示されています。
科学的根拠を丁寧にリサーチすることで、これらの低侵襲治療を安心してご提供できると考えています。
不要な治療をしない・必要な治療をする設計
天然歯を残せる可能性がある限り、安易にインプラントを勧めません。逆に、インプラントが最善と判断した場合は、骨造成などの追加処置も含め、必要な治療を省略しません。
必要なら専門医につなぐ誠実さ
当院で対応が難しい症例は、大学病院や口腔外科専門医をご紹介します。「自院で抱え込まない」ことも、患者さんの安全を守る大切な姿勢だと考えています。
インプラント治療とは
インプラント治療とは、歯を失った部分の顎の骨にチタン製の人工歯根(インプラント体)を埋入し、その上に人工の歯を装着する治療法です。
チタンは生体親和性が高く、顎の骨と直接結合します(オッセオインテグレーション)。この結合により、天然歯に近い咬合力と安定性が得られます。
治療の構造は3つの要素からなります。
- インプラント体(フィクスチャー)顎の骨に埋入するチタン製のネジ状の土台
- アバットメントインプラント体と人工の歯をつなぐ連結部品
- 上部構造(クラウン)実際に見える人工の歯
インプラントは周囲の歯を削る必要がなく、独立した構造であるため、残っている天然歯への負担がありません。これがブリッジとの大きな違いです。
こんな方におすすめ
- 歯を1本〜数本失い、残っている健康な歯を削りたくない方
- 入れ歯の違和感や不安定さにお悩みの方
- しっかり噛む力を取り戻したい方
- 見た目の自然さを重視される方
- ブリッジの支台歯への負担が心配な方
ただし、すべての方にインプラントが最適とは限りません。骨の状態、全身疾患の有無、生活習慣などを総合的に評価した上で、ブリッジや義歯も含めた選択肢をご提案します。
インプラントのメリット
- 天然歯に近い咬合力 しっかり噛める生活を取り戻せます。
- 隣の歯を削らない ブリッジと異なり、健康な歯を犠牲にしません。
- 審美性 セラミック製の上部構造は天然歯に近い見た目を再現します。
- 骨吸収の抑制 咬合力が骨に伝わることで、歯を失った後の骨の吸収を抑制する効果が期待できます。
- 長期的な安定性 適切なメンテナンスのもと、10年以上の長期予後が報告されています。
- QOLの向上 食事・会話・審美面での生活の質が向上します。
インプラントのデメリット
- 外科手術が必要 骨に穴を開けてインプラント体を埋入する手術です。出血・腫れ・痛み・しびれなどの術後反応が生じる可能性があります。
- 治療期間が長い 骨との結合(オッセオインテグレーション)を待つため、通常3〜6ヶ月の治癒期間が必要です。
- 費用が高い 自費診療のため、ブリッジや義歯(保険適用)と比較して費用負担が大きくなります。
- インプラント周囲炎のリスク 定期的なメンテナンスを怠ると、インプラント周囲の骨が溶けるインプラント周囲炎を発症するリスクがあります。
- 全身状態による制約 コントロール不良の糖尿病、骨粗鬆症の治療薬(ビスフォスフォネート製剤等)の使用、喫煙などがリスク因子となります。
- 生涯メンテナンスが必須 「入れたら終わり」ではなく、生涯にわたるプロフェッショナルケアが前提の治療です。
他の治療(入れ歯やブリッジ)
との違い
ブリッジ

| メリット | 固定式で違和感が少ない、 保険適用の場合もある、 治療期間が比較的短い |
|---|---|
| デメリット | 健康な隣の歯を大きく削る必要がある、 支台歯への力学的負担が大きい、 将来的に支台歯がダメになるリスクがある |
なお、接着ブリッジ(歯をほとんど削らないブリッジ)という選択肢もあります。全セラミック接着ブリッジの生存率は、3〜10年の追跡で76〜100%と報告されています。
入れ歯(義歯)
取り外し式の人工歯です。部分入れ歯と総入れ歯があります。

| メリット | 歯を削る量が少ない、 保険適用がある、 手術が不要 |
|---|---|
| デメリット | 違和感がある場合がある、 咬合力が天然歯より低い、 審美性に制約がある場合がある |
インプラント支持の義歯(オーバーデンチャー)という中間的な選択肢もあり、従来の義歯と比較してQOL(生活の質)と患者満足度が有意に向上するというメタアナリシスの結果があります。
インプラント
歯を失った部分の顎の骨にチタン製の人工歯根(インプラント体)を埋入し、その上に人工の歯を装着する治療法です。

| メリット | 隣の歯を削らない、 天然歯に近い咬合力と審美性、 骨吸収の抑制が期待できる |
|---|---|
| デメリット | 外科手術が必要、 治療期間が長い(通常3〜6ヶ月)、 費用が高い(自費診療)、 メンテナンスが生涯必要 |
どの治療が最適かは、失った歯の本数・位置、周囲の歯や骨の状態、全身的な健康状態、ライフスタイル、そしてご本人の価値観によって異なります。当院では、すべての選択肢を提示した上で、一緒に最善の方法を考えます。
カウンセリングから
定期メンテナンスまでの流れ
- カウンセリング・精密検査 お口の中の状態確認、CT撮影による三次元的な骨の評価、全身的な健康状態の確認を行います。インプラント以外の選択肢(ブリッジ・義歯)も含め、すべての治療オプションをご説明します。
- 治療計画の立案 CT画像をもとに、埋入位置・角度・深さをシミュレーションします。骨が不足している場合は骨造成の計画も立てます。費用・期間・リスクを含めた治療計画書をお渡しします。
- 前処置(必要に応じて) むし歯や歯周病がある場合は、先に治療を行います。骨造成が必要な場合は、インプラント埋入に先立って、または同時に骨増生処置を行います。
- インプラント埋入手術(一次手術) 局所麻酔のもと、顎の骨にインプラント体を埋入します。手術時間は1本あたり30〜60分程度が一般的です。
- 治癒期間(オッセオインテグレーション) インプラント体と骨が結合するのを待ちます。通常、下顎で2〜3ヶ月、上顎で3〜6ヶ月程度です。この間、必要に応じて仮歯を装着します。
- 二次手術・アバットメント装着 骨と結合したインプラント体の上部を露出させ、アバットメント(連結部品)を装着します。
- 上部構造(クラウン)の装着 型取りを行い、あなた専用のセラミック製クラウンを作製・装着します。噛み合わせの調整を丁寧に行います。
- 定期メンテナンス(生涯) 3〜6ヶ月ごとの定期検診で、インプラント周囲の健康状態を確認します。専門的なクリーニング、レントゲンによる骨の状態確認、噛み合わせのチェックを行います。メンテナンスの継続こそが、インプラントの長期成功の鍵です。
治療後の寿命と費用について
治療後の寿命について
「インプラントは一生もの」という表現を耳にすることがありますが、正確には「適切な条件とメンテナンスのもとで、非常に長期間機能する」治療です。
科学的データが示すインプラントの寿命
| 10年生存率 | 96.4%(18件の前向き研究のメタアナリシス) |
|---|---|
| 20年生存率 | 前向き研究で92%(欠測データを考慮した感度分析では78%)、後ろ向き研究で88% |
| インプラント支持固定性 補綴物の 10年生存率 |
93.1%(上部構造を含む全体の評価) |
長持ちさせるために重要な3つの条件
- 定期的な
プロフェッショナルメンテナンスサポーティブケアを受けている群は、インプラント生存率が有意に高く、インプラント周囲炎の発生率も有意に低いことが示されています。 - 良好な口腔衛生習慣毎日のブラッシングとフロスの継続が不可欠です。
- リスク因子の管理喫煙・コントロール不良の糖尿病・歯周病の既往は、インプラントの長期予後に影響を与えます。
当院では、「何年持ちますか?」というご質問に対して、「何年持たせるかは、私たちと患者さんの共同作業です」とお答えしています。長期的な成功は、埋入手術の精度だけでなく、その後のメンテナンスの質と継続性にかかっています。
費用について
高額になる理由
インプラント治療が高額になる主な理由は、以下の通りです。
- 材料費 生体親和性の高い純チタンまたはチタン合金のインプラント体、精密加工されたアバットメント、セラミック製の上部構造など、すべて医療グレードの材料を使用します。
- 精密検査・診断にかかるコスト CT撮影による三次元的な骨の評価、コンピューターシミュレーションによる埋入計画など、安全な手術のための事前準備に相応のコストがかかります。
- 手術と技術料 滅菌管理された手術環境、専門的な外科技術、必要に応じた骨造成処置など、一般的な歯科治療よりも高度な設備と技術が求められます。
- 長期メンテナンス体制 インプラントは埋入して終わりではなく、生涯にわたるメンテナンスが前提の治療です。定期的な専門的クリーニングとモニタリングの体制を含めた設計です。
当院では、初回のカウンセリング時に、想定される費用の全体像(検査・手術・上部構造・メンテナンス)をすべてご説明します。「あとから想定外の費用が発生する」ということがないよう、透明性を重視しています。
費用の内訳
当院では、以下の項目ごとに費用をご説明しています。
- 精密検査・診断料(CT撮影含む)
- インプラント埋入手術料(1本あたり)
- アバットメント・上部構造(クラウン)料
- 骨造成が必要な場合の追加費用
- 定期メンテナンス費用
当院のインプラント治療費は、CT精密診断・手術・土台・かぶせ物まで込みの総額です。詳細は料金表をご確認ください。
「インプラント1本○○万円」という表示だけでは、実際のトータル費用は分かりません。当院では、検査からメンテナンスまでを含めた総額をカウンセリング時にご提示します。
「骨が足りない」と言われた方へ
─広がるグラフトレスの選択肢
「骨が足りないからインプラントは無理」と他院で断られた経験はありませんか?かつてはそうしたケースで選択肢が限られていましたが、近年のエビデンスの蓄積により、骨造成を行わずにインプラント治療が可能となるケースの幅が大きく広がっています。
ショートインプラント
─骨造成なしで対応する選択肢
上顎の奥歯で骨の高さが不足している場合、従来はサイナスリフト(上顎洞底挙上術)という骨造成手術を併用するのが標準でした。
しかし、5年以上のRCTを集めたメタ解析では、ショートインプラント(8mm以下)はサイナスリフト+通常インプラントと比較して、次のように報告されています。
- 生存率に有意差なし
- 骨吸収がむしろ有意に少ない(-0.29mm, p=0.005)
- 生物学的合併症が有意に少ない(RR 0.46, p=0.03)
下顎でも、垂直骨造成と比較してショートインプラントの合併症は66%少なく(RR 0.34, p=0.0002)、5〜8年追跡で骨吸収も少ない傾向が示されています。
傾斜埋入
─骨のある場所を最大限に活かす
骨が十分にある部位にインプラントを傾斜させて埋入し、骨造成を回避する方法です。全顎治療(All-on-X等)で多く用いられます。
メタ解析では、傾斜インプラントと垂直インプラントの間に生存率・骨吸収の有意差はないことが繰り返し報告されています(3〜18年追跡、11,205本のインプラント)。
グラフトレス・サイナスリフト
上顎洞の粘膜を挙上し、骨移植材を使わずにインプラントを同時埋入する方法です。システマティックレビューでは平均97%の生存率と平均6.2mmの新生骨形成が報告されており、骨採取に伴う侵襲を避けられる点が大きなメリットです。
それでも骨造成が必要なケース
もちろん、すべてのケースでグラフトレスが可能なわけではありません。骨の不足が大きい場合は、骨造成術(GBR、サイナスリフト、骨移植など)が必要になります。
チタンメッシュを用いた骨造成では、平均して垂直方向に3.36mm、水平方向に3.26mmの骨増生が報告されています。ただし、メッシュ露出などの合併症率は約10.8%と報告されており、すべてのケースで無条件に成功するわけではありません。
当院では、CT画像に基づいて骨の状態を精密に評価し、グラフトレスで対応可能か、骨造成が必要かを科学的に判断します。「無理と言われたから諦める」前に、まずはご相談ください。
その他、慎重な判断が必要なケース
全身疾患をお持ちのケース
- 糖尿病血糖コントロールが良好であれば、健常者と同等の成績が期待できるという報告があります。ただし、コントロール不良の場合はインプラント周囲炎のリスクが上昇します。
- 骨粗鬆症治療薬(ビスフォスフォネート製剤など)顎骨壊死のリスクについて慎重な評価が必要です。
- 頭頸部の放射線治療歴照射患者のインプラント生存率は91.9%と、非照射患者(97%)と比較してやや低く、放射線性骨壊死(3%)のリスクもあります。
年齢について
顎骨の成長が完了していない成長期の方には適応がありません。一方、高齢者については、年齢そのものが禁忌ではなく、全身状態を総合的に評価して判断します。感度分析では65歳以上の10年生存率は91.5%と、やや低い傾向が報告されています。
当院では、こうした難しいケースほど、丁寧な事前評価と正直な説明を大切にしています。「できます」と安易にお伝えするのではなく、リスクとベネフィットを科学的に評価した上でご判断いただけるよう努めています。必要に応じて、大学病院や専門医への紹介も行います。
生活習慣で難しくなるケース
喫煙
喫煙は、インプラント治療における最も確立されたリスク因子のひとつです。
喫煙者ではインプラント周囲炎の発生率が36.3%と、非喫煙者と比較して有意に高いことが報告されています。喫煙は創傷治癒を遅延させ、骨のリモデリングを阻害し、インプラント周囲の血流を低下させます。
電子タバコ(加熱式タバコ含む)
近年のメタアナリシスでは、電子タバコもインプラント周囲のプロービング深さの増加、骨吸収の増大、炎症性サイトカイン(IL-1β)の上昇を引き起こすことが示されています。「紙巻きタバコよりマシ」とは言い切れない状況です。
口腔衛生の不良
毎日の適切なブラッシングとフロスを怠ると、インプラント周囲にプラーク(細菌の塊)が蓄積し、インプラント周囲粘膜炎からインプラント周囲炎へと進行するリスクが高まります。
メンテナンスの中断
定期メンテナンスの継続は、インプラントの長期成功の鍵です。メンテナンスの脱落(非遵守)は、インプラント周囲炎の発症と有意に関連しています。不十分な情報提供とモチベーション不足が、非遵守の主な理由として報告されています。
当院では、メンテナンスの重要性を繰り返しお伝えし、通いやすいメンテナンス体制を整えています。
セカンドオピニオンと
特殊なインプラント治療
セカンドオピニオンについて
セカンドオピニオンに対応しています。
他院で「骨が足りない」「インプラントは難しい」と言われた場合でも、ショートインプラント・傾斜埋入・グラフトレスアプローチなど、近年エビデンスが確立された手法によって対応可能なケースが増えています。
以前は骨造成が必須とされていた症例でも、グラフトレスで解決できる場合があるのです。
ただし、当院でもすべてのケースに対応できるわけではありません。精密検査の結果、インプラントが最善でないと判断した場合は、正直にその理由をご説明した上で、他の治療法をご提案します。
「前の医院で断られたから、もうダメだ」と諦める前に、一度ご相談ください。セカンドオピニオンで新たな可能性が見つかることもあれば、前の医院の判断が正しかったと確認できることもあります。いずれの結果も、あなたにとって意味のあるものになるはずです。
オールオンX
オールオンX(All-on-X)とは、片顎(上または下)に4本以上のインプラントを埋入し、その日のうちに固定式の仮歯を装着する治療法です。すべての歯を失った方、または多数の歯を失った方が対象となります。
4本以上で片顎を
しっかり
支える
特徴
- 4本以上のインプラントで片顎全体を支えるため、通常のインプラント治療(歯1本につき1本のインプラント)より埋入本数が少なくて済みます
- 奥のインプラントを斜めに傾斜して埋入することで、骨が少ない部位でもサイナスリフトなどの骨造成を回避できるケースがあります
- 手術当日に仮歯を装着できるため、「歯がない期間」を最小限にできます
注意点
- すべてのケースに適応できるわけではなく、骨の量・質、咬合の状態を精密に評価する必要があります
- 傾斜埋入されたインプラントにはアングルドアバットメントが使用されますが、これに関連してインプラント失敗率の上昇が報告されているメタアナリシスもあり、長期的なフォローアップが重要です
- 仮歯は最終的な上部構造ではないため、治癒後に最終補綴物への置き換えが必要です
当院では、オールオンXの適応かどうかを精密検査の結果に基づいて判断し、メリットとリスクの両面をお伝えした上でご検討いただいています。
インプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーとは、2〜4本のインプラントを顎の骨に埋入し、その上に取り外し式の義歯を固定する治療法です。
従来の総入れ歯がお口の粘膜だけで支えるのに対し、インプラントオーバーデンチャーはインプラントで義歯をしっかり固定するため、安定性が大幅に向上します。
義歯を
しっかり固定
メリット
- 従来の義歯と比較して、QOL(生活の質)と患者満足度が有意に向上することがメタアナリシスで示されています
- オールオンXと比較して埋入するインプラントの本数が少なく、費用を抑えられる場合があります
- 取り外しができるため、清掃性に優れています
- 骨の量が限られている方でも対応できるケースがあります
デメリット
- 固定式のインプラントブリッジと比較すると、やや違和感がある場合があります
- アタッチメント部品の定期的な交換が必要です
- 取り外して清掃する手間がかかります
総入れ歯の不安定さにお悩みの方で、オールオンXの費用や手術の負担が心配な方にとって、インプラントオーバーデンチャーは有力な選択肢となります。
医院選びと保証
医院選びで重視すべき点
- 事前の精密検査を行っているか CT撮影による三次元的な骨の評価を行わずにインプラント手術を行うことはリスクが高い判断です。精密な事前検査が安全の基盤です。
- 治療以外の選択肢も提示してくれるか 「インプラントしかない」と言われた場合は、セカンドオピニオンを検討してもよいでしょう。ブリッジや義歯も含めた選択肢を誠実に提示してくれる医院が信頼できます。
- リスクとデメリットの説明があるか メリットだけを強調し、リスクやデメリットの説明が不十分な場合は注意が必要です。インプラント周囲炎のリスク、手術の合併症、メンテナンスの必要性まで含めた説明があるべきです。
- メンテナンス体制が整っているか インプラント治療は、埋入手術よりもむしろ「その後のメンテナンス」が成否を分けます。長期的なメンテナンスプログラムが整備されているかを確認してください。
- 費用の全体像が明確か 「1本○○万円」という見出し価格だけでなく、検査・手術・上部構造・骨造成・メンテナンスを含めた総額が明示されている医院を選びましょう。
- 難症例に対する対応力 骨が不足しているケースや全身疾患をお持ちの場合に、骨造成への対応力があるか、または適切に専門医へ紹介できる体制があるかは重要なポイントです。
保証について
当院では、インプラント治療に対して保証制度を設けています。
保証の適用にあたっては、定期メンテナンスの継続が条件となります。これは、メンテナンスがインプラントの長期成功に不可欠であるという科学的根拠に基づいた条件設定です。
よくある質問
- 手術中の痛みや、術後の腫れが心配です。どの程度の負担がありますか?
- 手術は局所麻酔のもとで行うため、手術中の痛みはほとんどありません。
術後は、個人差がありますが、2〜3日程度の腫れや痛みが生じることがあります。処方する鎮痛薬で管理可能な範囲です。フラップレス(歯肉を切開しない)のガイデッドサージェリーでは、術後の疼痛や腫れが従来法より軽減されるというデータもあります。 - 他院で「骨が少ない」と言われましたが、治療は可能ですか?
- 近年、骨が不足しているケースでも対応可能な選択肢が大きく広がっています。
ショートインプラント(8mm以下)、傾斜埋入、グラフトレス・サイナスリフトなど、骨造成を行わずに対応できるケースが増えており、5年以上のRCTの統合分析でも骨造成併用と同等の生存率が報告されています。
もちろん骨造成が必要なケースもありますが、「骨が足りない=インプラントは無理」とは限りません。CT画像に基づいて精密に評価し、最適な方法をご提案します。 - インプラントにした後、金属アレルギーが起こることはありますか?
- インプラントに使用されるチタンは、金属の中でも極めて生体親和性が高く、アレルギー反応を起こすことは非常に稀です。チタンアレルギーが心配な場合は、パッチテストなどで事前に確認することも可能です。
なお、ジルコニア製のインプラントという選択肢も研究が進んでおり、短期的にはチタンインプラントと同等の生存率が報告されていますが、長期データはまだ限定的です。 - インプラント周囲炎になったら、もうインプラントはダメになりますか?
- インプラント周囲炎は、早期に発見し適切に対応すれば管理可能な疾患です。
個別化されたリスクベースのメンテナンスプログラムにより、プロービング深さや出血の改善が報告されています。
ただし、進行した場合はインプラントの撤去が必要になることもあります。だからこそ、予防と早期発見のための定期メンテナンスが極めて重要なのです。 - 即日インプラント(抜歯即時埋入)は可能ですか?
- 条件が整えば可能です。抜歯と同時にインプラントを埋入し、即日で仮歯を装着する方法(Type 1A)は、厳密な患者選択基準のもとで高い生存率が報告されています。
ただし、骨の裂開型欠損のリスクや、適応条件が厳しいため、すべてのケースに行えるわけではありません。
骨のギャップへの骨補填材の充填が、骨吸収の軽減に有効であることも示されています。当院では、抜歯後の骨と軟組織の状態を慎重に評価した上で、最適なタイミングをご提案します。
このページの参考文献・エビデンス(全50件)
- 当院のインプラント治療の考え方
- 10年インプラント生存率のSR/MA(Howe 2019) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 20年インプラント生存率のMA(Kupka 2024) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- インプラント周囲炎の有病率SR/MA(Rakic 2018) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- サポーティブケアによるperi-implantitis予防(Lin 2019) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 2017 World Workshop基準による有病率(Reis 2025) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 当院のインプラント治療の強み
- フラップレス vs 切開法のSR/MA(Alqahtani 2024) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- フラップレス vs 切開法のSR/MA(Lv 2020) pmc.ncbi.nlm.nih.gov
- ショートインプラント vs サイナスリフトのSR/MA(5年RCT, Mester 2023) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- ショートインプラント vs 骨造成のSR/MA(Chaware 2021) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- ショートインプラント vs 垂直骨造成のSR/MA(Terheyden 2021) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- ショートインプラントのアンブレラレビュー(Saenz-Ravello 2023) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- インプラント治療とは
- 糖尿病とインプラントのSR(Wagner 2022) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 薬剤関連インプラント失敗のSR/MA(Chappuis 2018) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 電子タバコのperi-implantへの影響(Guney 2024) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 他の治療(入れ歯やブリッジ)との違い
- 接着ブリッジ生存率SR(Habibzadeh 2024) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- インプラント義歯 vs 従来義歯のSR/MA(Bandiaky 2022) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- インプラント vs ブリッジの経済比較SR(Scheuber 2012) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- カウンセリングから定期メンテナンスまでの流れ
- サポーティブケアの効果SR/MA(Lin 2019) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- メンテナンスコンプライアンスSR(Amerio 2020) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- サポーティブperi-implant therapyのSR(Mojaver 2026) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 治療後の寿命と費用について
- 10年生存率SR/MA(Howe 2019) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 20年生存率MA(Kupka 2024) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- インプラント支持FDP生存率SR(Pjetursson 2012) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- サポーティブケアの効果(Lin 2019) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 「骨が足りない」と言われた方へ
- ショートインプラント vs サイナスリフト 5年RCT SR/MA(Mester 2023) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- ショートインプラント vs 骨造成 SR/MA(Chaware 2021) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- ショートインプラント vs 垂直骨造成 SR/MA(Terheyden 2021) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- ショートインプラント アンブレラレビュー(Saenz-Ravello 2023) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 傾斜インプラント SR/MA(Del Fabbro 2022) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 傾斜 vs 垂直インプラント SR/MA(Cortes-Breton Brinkmann 2021) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- グラフトレス・サイナスリフト SR(2017) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- チタンメッシュ骨造成SR/MA(Sabri 2024) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 糖尿病とインプラントのSR(Wagner 2022) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 照射患者のインプラント生存率SR/MA(Toneatti 2021) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 高齢者の10年生存率(Howe 2019) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- GBRのバイオマテリアルNMA(Calciolari 2023) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 喫煙とperi-implant疾患の頻度(Atieh 2013) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 電子タバコとperi-implant健康(Guney 2024) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- メンテナンスコンプライアンスSR(Amerio 2020) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- peri-implant粘膜炎の一次予防(Jepsen 2015) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- セカンドオピニオンと特殊なインプラント治療
- アングルドアバットメントの合併症SR/MA(Omori 2020) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 即時荷重プロトコルSR(Gallucci 2018) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- インプラント義歯 vs 従来義歯のSR/MA(Bandiaky 2022) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- よくある質問
- フラップレスガイデッドサージェリーSR/MA(Romandini 2023) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- ショート vs 通常インプラントSR/MA(Pradhan 2024) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- ジルコニアインプラントSR/MA(Padhye 2023) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- サポーティブperi-implant therapyのSR(Mojaver 2026) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 即時埋入・即時荷重SR/MA(Hamilton 2023) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 即時埋入と骨補填SR/MA(Seyssens 2022) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- 即時埋入・即時暫間補綴SR/MA(Pitman 2022) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
