インプラントは痛い? 痛みはいつまで続く?
こんにちは。Ihana歯科北浜院長の岩崎です。
この記事で分かること
- 術後の痛みは通常の抜歯と同じくらい〜やや軽く、横向きの親知らずの抜歯よりは軽いと報告されています。
- 多くは軽度〜中等度で、術後およそ72時間が中心。腫れは2日ごろがピークで、1週間ほどで落ち着いたとされています。
- ただし「痛くない」「腫れない」とは言えません。強い痛みが出る方もおられ、感じ方には個人差があります。
目次
インプラントをためらう理由として、費用と並んで多いのが「手術が怖い」「痛そう」というものです。
痛みは数字で言われてもピンときません。この記事では、経験したことのある痛みに喩えると、どのあたりなのかを研究データで整理します。
01. 経験のある痛みに喩えると
〔エビデンス:中〕 インプラント手術と抜歯の両方を経験した患者さんを調べた研究では、インプラント手術の方が、術後の痛みも生活への支障も少なかったと報告されています(AlQutub 2021)。
一方、横向きに埋まった親知らず(水平埋伏智歯)の抜歯は、切開・骨の削除・歯の分割・縫合をともなうため負担が大きく、多施設の研究では当日におよそ4割の方が「強い」以上の痛みを訴えたと報告されています。
※これらは3つを1本の研究で直接比べたものではなく、それぞれの研究を並べた目安です。骨を大きく足す処置をともなう場合や難しい症例では、これより強くなることがあります。
02. 実際には、どれくらい続くのか
〔エビデンス:強〕 9件の無作為化比較試験をまとめた解析では、通常のインプラント手術(1本・骨を足さない場合)の術後の痛みは多くが軽度から中等度で、術後およそ72時間が中心、短期間の痛み止めで管理できたと報告されています(Khouly 2021)。
〔エビデンス:中〕 腫れは術後2日ごろがピークで、その後やわらぎ、多くは1週間ほどで元に戻ったとされています(Kofina 2025・前向き研究 n=26)。
⚠ ただし「痛くない」とは書けません
同じ研究群のなかに、強い痛みを感じた方がいたという報告もあります。痛みの感じ方には個人差が大きく、「痛くない」「腫れない」と言い切れる根拠はありません。当院もそのようには説明しません。強い痛みが続く場合は、我慢せずご連絡ください。
03. 骨を足すと、負担は増えるのか
〔エビデンス:強〕 増えます。ただし負担の中心は「骨をどこから採ってくるか」にあることが分かっています(McKenna 2022・23研究のメタ分析)。
腰から採ると、負担は大きい
自分の骨を腰の骨(腸骨)など口の外から採る場合は、痛みや歩きにくさが高い頻度で報告されています。一方、口の中から採る場合の負担は小さく、通常の歯ぐきの処置と同じ程度と報告されています。
McKenna 2022(J Evid Based Dent Pract・23研究のシステマティックレビュー/メタ分析)。公表研究の要約であり、当院の成績ではありません。
〔エビデンス:中〕 骨を足す代表的な処置である上顎洞底挙上(サイナスリフト)でも、痛みは最初の2日ほどが中等度で、数日で軽快し、腫れは平均4日ほど、およそ8割の方が「もう一度受けても問題ない」と答えたと報告されています(Rengo 2021・前向き研究 n=76)。
04. 切らない方法だと、軽くなるのか
歯ぐきを切り開かずに埋入するフラップレスという方法があります。
〔エビデンス:中〕 14件の無作為化比較試験をまとめた解析では、術後1日目の痛みは切り開く方法より少なかったと報告されています。ただし3日目には差がなくなり、根拠の確からしさも高くはありません(Gao 2021、Romandini 2023)。
⚠ 腫れが減るとは、まだ言えません
フラップレスで腫れが少なくなることは証明されていません(差が確認されなかった、という報告です)。 「切らないから腫れない」とは書けない、というのが現時点での正確な言い方です。
骨補填材を用いない方法(グラフトレス)でも、痛み・食事の不自由・睡眠への影響が続いた日数は短かったと報告されていますが、差は1〜2日ほどで、痛みの強さ自体には差がなかったとする報告もあります。
05. どうしても不安な方へ
静脈内鎮静法という選択肢があります。点滴でお薬を入れ、うとうとした状態で手術を受ける方法です。当院ではご希望の場合に+100,000円(税込)で対応しています。
まれに呼吸が浅くなる・血圧が下がるなどの反応が起こりうるため、モニターで全身の状態を確認しながら行います。当日の絶飲食を守っていただき、手術後24時間は車の運転や重要な判断を控えていただきます。
まとめ
この記事のまとめ
- 術後の痛みは通常の抜歯と同じくらい〜やや軽く、横向きの親知らずの抜歯よりは軽いと報告されています。
- 多くは軽度〜中等度で、術後72時間が中心。腫れは2日ごろがピークで、1週間ほどで落ち着いたとされています。
- 骨を足すと負担は増えます。中心は「骨をどこから採るか」で、口の外から採る場合が大きくなります。
- ただし「痛くない」「腫れない」とは言えません。強い痛みが出る方もおられ、感じ方には個人差があります。
痛みへの不安は、術式の選び方や麻酔の方法である程度まで下げられます。どの方法なら受けられそうかも含めて、相談のときにお話しください。
自由診療に関する注記
※インプラント治療は自由診療(保険適用外)です。費用・リスク・副作用はインプラントのご案内に記載しています。
※掲載する研究知見は一般的なものであり、個々の患者さんの結果を保証するものではありません。実際の診断・治療方針は、診察のうえで判断します。
相談とCT診断は無料です(約30分)。当日のご契約は求めません。「自分の場合はどうなのか」を、CT画像を見ながら一緒に確かめましょう。 ご相談は LINE または Web 予約からお申し込みください。
執筆:岩崎亮也(歯科医師・Ihana歯科北浜 院長)/初出 2026-07-29・更新 2026-10-09(読む相談室から移植。図は PNG に、根拠の強さの印は文中の〔 〕に写しました)
この記事の参考文献(全8件)
- 本文で引いた研究・資料
- Khouly I, et al. Postoperative pain management in dental implant surgery: a systematic review and meta-analysis of randomized clinical trials. Clin Oral Investig. 2021;25(5):2511-2536.(9件のRCTのSR/MA) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- AlQutub MA. Pain and quality of life after dental implant placement versus tooth extraction. Int J Dent. 2021.(両方を経験した患者の比較)PMC8424234
- Kofina V, et al. Postoperative swelling after implant placement: a prospective study. Clin Oral Investig. 2025;29(4).(前向き研究 n=26) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- McKenna G, et al. Patient-reported outcomes following autogenous bone grafting. J Evid Based Dent Pract. 2022;22(3):101731.(23研究のSR/MA) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- Rengo C, et al. Patient-reported outcomes after maxillary sinus floor augmentation. Clin Oral Investig. 2021;25(7):4431-4444.(前向き研究 n=76) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- Gao J, et al. Flapless versus conventional flapped dental implant surgery: a meta-analysis. Int J Implant Dent. 2021;7:100.(14件のRCTのMA) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- Romandini M, et al. Clinical outcomes of flapless implant surgery. Periodontol 2000. 2023;91(1):89-112.(5件のRCTのSR/MA・確実性low) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
- Starch-Jensen T, Bruun NH. Patient-reported outcome measures after maxillary sinus floor augmentation with and without grafting material. Int J Implant Dent. 2021.(RCT n=40) pubmed.ncbi.nlm.nih.gov
